“中山陶和堂リノベーションプロジェクト、始動します。”
有田内山の町並みを上って、上有田駅方面に曲がるすぐ手前にあるお店。
それが中山陶和堂(なかやまとうわどう)です。
かつてこの町並みにはたくさんの人が暮らし、賑わい、笑顔で溢れていました。
ここ、中山陶和堂もそのうちの1つでした。
2階の住居部分には多いときには8人もの人が生活を共にし、ときどき喧嘩もするけれどそれよりもたくさんの笑い声がありました。
しかし、窯業の低迷とともに、有田の町は元気を失っていきました。
若い人は仕事を求めて都会へ行き、戻ってこなくなりました。
ことさら、焼き物通りであるこの有田内山の状況は厳しいものがあります。
思わず息を呑むほどの風光明媚な町並みから、人の姿は消えてしまいました。
追いかけっこする子供たちや、それを微笑むお婆ちゃんの姿も見られず、“暮らし” が町から遠ざかってしまったのです。
中山陶和堂のオーナー、中山智和(なかやまともかず)さんはこの状況をどうにかしようと、まちのオフィス春陽堂に相談に来てくれました。
商店会をどがんかせんば、もうここは終わってしまうばい。
中山さんの思いと情熱に共感した私は、
中山陶和堂を中心に、有田内山に暮らしを取り戻しましょう!
と提案。
それから試行錯誤を重ね、私たちは決断しました。
中山陶和堂を
“学生向けのシェアハウス&シェアアトリエ”
として復活させ、有田内山に暮らしを取り戻します。
かつて8人もの大家族が一緒に暮らしていたけど、いまは空き住居になっている中山陶和堂の2階に、再び笑い声を響かせます。
シェアハウス&シェアアトリエをやる理由は、もう1つあります。
有田には、有田窯業大学校という有田焼の技術を習得するための専門学校があります。
ここでは、日本全国の色んなところから有田に来て、朝から晩まで一心不乱に焼き物を学ぶ人たちの熱気で溢れています。
しかし、彼らには共通する悩みがあります。
それは、「有田の町に溶け込むことなく卒業してしまう」ということです。
一人暮らしのアパートに暮らし、平日はずっと焼き物を学び、休日はアルバイトでお金を稼ぐ。このライフスタイルの中で有田の町や人との接点は持つことはできず、愛着を持てないままこの地を去ってしまっているのです。
来年度、窯業大学校は佐賀大学と合併し有田キャンパスが設立されます。さらに多くの若者が有田で学び暮らすことになりますが、今のままでは同じことの繰り返しになってしまいます。
この問題を解決するための提案が、“学生向けのシェアハウス&シェアアトリエ”です。
まずは、シェアハウス。
このシェアハウスには4人の学生(女子限定)が暮らします。
彼女たちと一緒に作り上げるシェアハウスはとても個性的。壁には自分たちで好きな色を塗り、わくわくする空間が広がります。
共用スペースには友達をたくさん呼んでパーティもできるし、オープンな屋上では日向ぼっこをしたりバーベキューをしたり。
そして、シェアアトリエ。
このアトリエは住人はもちろん、外部の人(学生以外)も使えます。
ろくろを完備したアトリエでは、みんなで購入した陶土をシェアして自分だけの作品を作ることができます。そして、作品は1階のギャラリースペースで展示することも、販売することもできます。同じ志を持った仲間と切磋琢磨して過ごす時間は、何よりも貴重です。
この建物が有田内山に現れると、どうなるでしょうか?
笑い声が聞こえてきます。
人が集まり出します。
みんなの話題になります。
新しいお店が増えて賑わい出します。
遊びに来た人も、昔から住んでる人も、笑顔になります。
そして、いまは閉まっている焼き物屋さんの扉が次々と開くようになるかもしれません。
皆さん、どうか暖かく見守ってください。そして、応援してください。
お手伝いだっていつでもウェルカムです。
このシェアハウス&シェアアトリエは、有田内山の希望になってみせます。